
IKTTクメール伝統織物とは
1996年 故・森本喜久男がカンボジアに設立した現地NGO。内戦とその後の混乱のなかで途絶えかけてしまったカンボジア伝統絹織物の復興を目的とし、カンボジアにおいて代々受け継がれてきた伝統的な手法を基本に、美しい布を現代に蘇らせている。
2003年からはIKTTのプロジェクトとして「伝統の森・再生計画」に着手。荒れ地を拓くところから始め、小屋を建て、井戸を掘り、畑をつくり、桑などを育て、養蚕をし、自然染色の素材となる木々を植え、自給的な染め織りが可能な工芸村を立ち上げた。自然染料による染織を核にしつつも、人びとの暮らしの再生と、人びとの暮らしを包み込む自然環境の再生に取り組むIKTTのプロジェクトサイトを「伝統の森」と呼ぶ。この「伝統の森」は、約24haある敷地のほぼ半分を木々の再生エリアとして保全・育成しつつ、約100人が暮らす「新しい村」として行政的認可を得るまでに成長。
経歴
1996年
プノンペン郊外のタクマオ市にIKTT(Institute for Khmer Traditional Textiles ;クメール伝統織物研究所)を設立
1999年
「桑の木基金」設立。地雷被害の大きいバッタンバン州などで養蚕プロジェクトを開始
2000年
IKTTをシエムリアップに移転し、研修生の受け入れを開始する
2002年
シエムリアップ州アンコールトム郡に約5haの土地を取得し、「伝統の森・再生計画」予定地とする
2003年
伝統の森・再生計画」に着手(その後、対象地は約22haにまで拡張)。「伝統の森」で蚕供養を始める。福岡市美術館「カンボジアの染織」展に、森本ならびにスタッフ2名が招かれ、講演と括りと織りの実演を行なう。在シエムリアップの学術系NGO、センター・フォー・クメール・スタディーズと共催で「ホール(絣):クメールとチャム、2つの美の融合」と題する企画展示ならびに学術セミナーを開催
2007年
プノンペンの王宮にて、IKTTの主要スタッフとともにノロドム・シハモニ国王への接見の栄誉を賜る
2008年
『Bayon Moon - Reviving Cambodia's Textile Traditions』を上梓。「伝統の森」にて「蚕まつり2008」を開催(前夜祭としてファッションショーを実施)